ダフロン

2008年10月29日

迷い猫オーバーラン! 拾ってなんていってないんだからね!!/松智洋

4086304503迷い猫オーバーラン!―拾ってなんていってないんだからね!! (集英社スーパーダッシュ文庫 ま 1-1)
松 智洋
集英社 2008-10-24

by G-Tools

都築巧は姉と二人暮し。潰れかけの洋菓子店『ストレイキャッツ』店長である姉はお人好しで不器用でドジっ子なために、近くに住む幼なじみの手を借りながらなんとか店を切り盛りしていた。そこに、姉が謎の美少女を拾って帰ってきてしまい。

捨て猫少女の騒動歌

困っている人を見捨てられない性質の姉が女の子を拾ってきてしまい、一緒に暮し始めるというお話。

絶対に本音と反対のことしか言わない幼馴染の狼少女・芹沢文乃。
いつも嘘しか言わないということは、つまり逆の意味で考えると、いつも本当のことしか言わない正直者とも言い換えられるわけで、それがこの作品のテーマにもなっています。
主人公の巧を尻に敷いて、なにかと暴言のみならず拳や蹴りが飛んでくるツンギレな彼女ですが、意地っ張りの嘘で隠した素直な気持ちが透けて見えるところが大変可愛らしかった。

巧の姉に拾われてきた女の子・霧谷希は、文乃とはまったく正反対で無口無表情な少女なのですが、天然な姉と文乃に振り回される巧や、それを囃し立てる級友のオタク少年に時代錯誤の日本男児やら、大金持ちのワガママロリっ娘など騒がしい面々に囲まれながら、巧の側に新しい自分の居場所を見つけていく光景に胸が温かくなりました。

人助けとなると飛び出していってしまう姉をハタ迷惑なお節介焼きと称している巧だけれども、そんな姉を見捨てずに家族として受け入れていたり、周囲の女の子たちが巻き起こす騒動のフォロー役がしっかり板についている彼自身も十分、お人好しじゃないかな。
というか、姉は自分の世話もできないのに生き物を拾ってきちゃダメだろうと。

ミステリアスな無表情系美少女とツンデレ幼馴染みのダブルヒロインものになるのかな、これは。
ロリっ娘を含めるとトリプルヒロインものですね。端からだと女子に虐げられているように見える巧ですが、本当は女の扱いが上手いのでないかと思うこともしばしば。これが天然フラグ体質というものか。
気の強い美少女にマイペースな美少女、テンション高い美女にワガママな美幼女。
可愛い女の子に振り回されたい願望のあるひとにとっては実に美味しいシチュエーションですね。
始めから終わりまで、ハイスピードで駆け抜ける展開に爽快な読み応えを味わえて素晴しかった。
この作者には、これからも注目していきたい。

ちなみに昨今のスーパーダッシュ文庫らしく、オタクネタもかなり仕込まれているので、興味があるなら元ネタ探しに挑戦してみてください。(「俺の股間の斬魄刀が卍解」はさすがにキモイ
というか、「カトゆー」とか「アキバ.blog」とか実名を載せてしまってるのはいいのかよと思わなくもない。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 集英社スーパーダッシュ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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迷い猫オーバーラン!拾ってなんて言ってないんだからね!! [松智洋]
Excerpt: カトゆーさんやアキバBlogさんが出てくるラノベということで売れてるらしい「迷い猫オーバーラン!」 また
Weblog: ちょいヲタ?バスタア日記
Tracked: 2008-11-05 20:09