ダフロン

2008年10月20日

MA棋してる! 1/三浦良

4829133384MA棋してる!(1) (富士見ファンタジア文庫 み 2-1-1)
三浦 良
富士見書房 2008-10-20

by G-Tools

異界グノスから落ちてきたオカメインコ(実は魔法学院生ソフィー)と魔法の杖を拾った小学5年生・奏。なし崩し的にグノスの王位継承権争いに巻き込まれた彼女がとっさに発動した魔法、それは「将棋魔法」だった!

ある日の出会いは、一歩千金

棋士の父と史学者の母を持つ小学5年生の奏が、異世界の王位決定戦に巻き込まれていくお話。

将棋をベースにした魔法という着想がまず面白い。
将棋の駒を模したオブジェクトを動かし、布陣を作ることで様々な魔法効果を発揮する。
駒の動きを指示する「7六歩、2六銀」といった言葉が魔法の呪文、定石が魔方陣のような扱い。
例えば、防御戦法として有名な「穴熊囲い」が防御結界になったり、香車をならべる「スズメ刺し」が攻撃魔法になったりするわけです。
手駒に攻撃を受ければ消えてしまうし、一手一手駒を動かさなければいけないから即座には発動ができないなどと、縛りや制限があって決して単純にいかないところがよく練り込まれている。

ライバルの魔法少女・咲はプログラミング言語のC++をベースにした魔法を使ってくるのですが、こちらはもう最近ではあまり珍しくないかなぁ。発想自体よくあるし。
というか、リアルの仕事でC++を使っている身としては、この手の魔法設定が出てくる作品は失笑モノですがね。まあ確かに知らない人が聞けば、呪文の言葉に聞こえるというのもわからなくもないが。
お互いに相手の魔法のベースとしている将棋やプログラミング言語の知識がないから、そこで相手の出方を探ったり、先を読んだり、罠を張って待ち構えたりといった駆け引きが展開され、戦いの中に戦略性やゲーム性が生まれてくる。

そもそも奏については、可愛い顔して意外と策士・詐欺師ですね。
父親譲りの戦略眼と母親直伝の戦史学がいい感じに融合している。
素直な性格なんだけれども、したたかな面もある一筋縄ではいかなそうなロリなのです。
なにかというと儲け話をはじめる守銭奴ソフィーとはいいコンビなのじゃないかしら。

表紙から見てきゃぴきゃぴした魔法少女ものかと思いきや、頭脳戦がメインで予想外でした。
魔法少女ものではあるんですが、しっかり作りこまれているので硬派な読者にもこれはオススメ。
作者の三浦良の前作は、なんかやたら主人公を英雄視して、シリアスを気取ったところが好きになれなかったのですが、今回で一皮剥けて親しみが加わりましたね。

富士見ファンタジア文庫で、久しぶりに期待できるシリーズが生まれました。

抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王 (富士見ファンタジア文庫)抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王 (富士見ファンタジア文庫)
三浦 良

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posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 富士見ファンタジア文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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