聖剣の刀鍛冶 #3 (3) (MF文庫 J み 1-11) 三浦 勇雄 メディアファクトリー 2008-09 by G-Tools |
独立交易都市・ハウスマンでは、人外による凄惨な通り魔事件が発生。セシリーたち自衛騎士団の眼前に現れたその人外は、全身いたるところから剣や槍を生やした、あまりにも異形すぎるモノだった。騎士団が懸命に包囲するも人外はこれを易々と突破し、灰被りの森へと逃走を始めるのだが・・・。
神風ガールズファイト
すべてを守りたいと願う女騎士・セシリーが、己の理想と現実のギャップの壁にぶち当たり、そのつど、気合とド根性でぶち壊して成長していく熱血ファンタジー。
これまでどんな強敵にも決して屈しなかったセシリーの信念という心の剣がついに折れる。
悪意に踏み躙られた理想。あがらえない暴力で屈服させられる恐怖。果てしない無力感と絶望。
綺麗事と理想論ばかりでどこか甘さが抜けきらない彼女が、いつか痛い目にあうんじゃないかと思っていましたが、まさかこうも彼女のメンタルを奥深く抉ってくるとは正直ビビリました・・・。
ルークからも「自分の職務を美化しすぎ」と言われてたせいで、余裕を失っていたのもあるのかなぁ。
真っ直ぐでシンプルなだけに打たれ弱い一面が、ここで改めて浮き彫りになってしまいましたね。
しかし、そうやってセシリーを貶めた憎まれっ子ジークフリートも、彼女の戦う理由である「誰かを守りたい」という気持ちだけは、奪えなかったのでしょう。
魔剣の力がなくては、悪魔や人外相手に太刀打ちできない。それでは生身の人間はいらないんじゃないかと思い悩んでいた彼女にとって、魔剣なしで悪魔と戦う騎士団の姿は輝いて見えたのか。
再び闘志を呼び覚まして立ち上がった彼女の顔は、それまで以上に力強さと覇気に満ちていました。
なんていうか言葉は悪いですが、バカは落ち込んで開き直るとその反動なのか勢いがすごいですね。
溜まりに溜まっていた思いをぶつけるが如き戦いぶりがなんとも白熱してました。
それにしてもセシリーの戦い方は、相変わらず無茶がすぎてヒヤヒヤさせる。さしずめ神風特攻だな。
今回はセシリーと並んで、リザもセシリーを助けて頑張りました。
途中、余計なちょっかいもあったけれど、リザとルークの間にあったわだかまりも一掃されたかな。
魔剣アリアも武器だからとてセシリーにまかせっきりにせず。自分の正体が何者であろうと、自分の価値は、自分で決めるという気概を持ってくれたのはありがたい。
最後のジークフリートとの決闘シーンは、ルークなりにセシリーへのけじめのつもりだったのかな。
ジークフリートも、セリフだけ聞いていると、ただの頭のイカレた悪人ですが、彼なりに歪んでしまった理由があるのだろうなぁ。
ルークの魔剣精製にかかるリスクや、リザの正体などが明かされ。そして聖剣をめぐる各国の動きもどれも活発化してきました。
絆を深めていくセシリーたちだけれど、先への不安が拭い去れません。