ラノベ部 (MF文庫 J ひ 2-14) 平坂 読 メディアファクトリー 2008-09 by G-Tools |
物部文香はごくごく普通の高校一年生。高校に入学して一週間、今まで通りさして特徴のないごくごく普通の毎日を送ってきた文香だが、ある時ふと気がつくと軽小説部、通称『ラノベ部』に所属することになっていた……!
ラノベ部より愛をこめて
ライトベルなんてまったく知らなかった少女・物部文香が、『軽小説部』に入部したことで、ラノベの魅力にハマっていく、パロディネタ満載の日常系コメディです。
物部文香を見ていると、初めてラノベと出会った頃の自分を思い出すなぁ。
当時、小学5年くらいだったんですけどね。タイトルは中村うさぎの『ゴクドーくん漫遊記』。
主人公がとにかく下品で、恥知らずで、ロクデナシで、むちゃくちゃ自分勝手な野郎なんですよ。
それまで国語の教科書ぐらいでしか小説を読んだことがなかった私にとって、世の中にはこんなフリーダムな小説もあるのかと強い衝撃をうけました。
読み始めたらとまらなくて、生まれて初めて真夜中の2時くらいまで夜更かしして親に叱られたっけ。
小学校、中学校は周りにラノベを読む人がまったくいなかったんですが、やっぱり高校に入ってからラノベ好きの友人と出会って、放課後なんかはラノベ話で盛り上がってました。
ちなみにそのときの自分たちのブームは『スクラップドプリンセス』。
知名度が低かった昔と比べると、いまじゃどこの本屋でも少なからずラノベコーナーがありますし、
売り切れでもAmazonで注文すれば翌々日には届きますし、いまの学生はとても恵まれてますよね。
偏見や拒否感もずいぶんと薄くなりました。ちょっと前までは、表紙むき出しでは人前で読めなかったものですが、最近は電車内で読んでいる学生なんてザラですから。
(※ただ、読んでいる本人は気にしてなくとも、周囲には気になる人がいるかもしれないので、一般的にはカバーをするのがマナーですよー)
文香と似通ったところがありすぎなんですが、一番共感できるのは、国語が苦手なところだったりする。
私も国語はいつも平均点ギリギリくらい。やっぱり答えを押し付けられるのが大嫌いでした。
登場人物の気持ちとか、作者の意図とか、そんなもの読者に訊くなと!
読んで感じた人それぞれでいいんじゃん!そんな問題に本当に正しい正解はないです!
本をたくさん読んでいるからといって、国語力が上がるというのも偏見ですね。
私の場合、本を読んでいるときは、"文字を読んでいる"という認識はないです。
文章を目にすると無意識に頭の中にはいってきて、物語の情景が勝手に映像化されるんですよ。
だから、自分で書くときは漢字や文法が出てこなくてすごい困ります。
国語テストの点を上げたいなら、文章を文章として捉えながら読まないとダメです。
それと作中では、ラノベ読みがいいたいことをいろいろ代弁してくれている。
「ライトノベルというのは何なんですか?」という質問に対し、
実際に現物をみせて「なんかそういうのがラノベ」と答える。
このやり取りに全国のラノベ読みたちの想いが凝縮されている。
だって、そうとしか答えられないです! 言葉では言い表しきれません!
そればっかりは実際に読んでもらって感覚でわかってもらうしかないです。
ライトノベルの魅力とか訊ねられても、読んだことがない人にどれほど時間をかけて説明しようと絶対に伝わるわけがないと思っています。
ということで、
この本が面白いかは、みなさんが読んでみないと本当のところはわかりません。
そしてこの本に感動するかは、すべてみなさん次第です。
自由気侭であること。それが私がライトノベルを愛する理由のひとつです。
ちなみに、ネタ元が知りたかったらネタバレしているところがいくつかあるので、みなさんもクイズ感覚で考えてみてはどうでしょうか。
KypDurron's Style 2nd
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ゴクドーくん漫遊記〈13〉 (角川スニーカー文庫) 中村 うさぎ by G-Tools |