カッティング~Case of Mio Reincarnation~ (HJ文庫 は 1-1-4) 翅田大介 ホビージャパン 2008-09-01 by G-Tools |
ミオとのすれ違いを解消できないまま、交通事故にあってしまったカズヤ。命が失われていく中でカズヤが聞いたのは、ミオの絶叫と悪魔の囁きだった、そして二人の再生の物語の結末は・・・
殺したいほど、愛してる
些細なすれ違いから口論となり、取り返しのつかない事態を招いてしまったミオとカズヤのその後のお話です。
カズヤには、まったく幻滅だなぁ。うわぁ、こいつ最低だよもう。
たかが少し辛くて過酷で無慈悲な現実を知ってしまったくらいで悲劇の主人公ごっこかい。
それでその苛立ちをミオ相手に当り散らすなんてのは、筋違いも腹立だしい。
むしろこれで彼女と同じ苦しみを体験できたのだから、これまで以上に彼女を理解して受け止めてやれよと、彼の自分勝手な言い分やあまりの不甲斐無さに呆れていました。
葛峰姉弟がやたらカズヤを偽善者と呼ぶ、その定義がわからなかったけど、それがわかりました。
カズヤは口先だけで愛が足りねぇ!
ゲンコツ一発程度じゃなく、もっと徹底的に沙姫部先輩にボッコボコにされてればよかったのに。
ああ、それにしても沙姫部先輩は素敵ですよね。男らしくも女の子としての一面も捨てていないところがカッコカワイイ。私が処女だったら惚れてます。
生憎と性転換する予定はいまのところないので、ここは「アニキ!」と呼ばせて頂きたい。
あんだけ悩んでいたのに、ちょっと女に優しくされただけで立ち直るんだから、単純だな、男って・・・。
それを言ったら物語終了な事をあえて言えば、この話の登場人物はつまらないことに思い悩み過ぎですね。
自分が本当は死んでいた人間だったからといって、すぐに何かが極端に変わるわけでもなし、変らず明日は来るし、周囲の他人はこちらの悩みなんか関係なしに生活してるものですよ。
自分が苦しんだところでなんのメリットもないことに、いつまでも時間を浪費してるのも勿体無いし。
もしいま私の部屋に黒服の男が訪ねて来て、「お前は、すでに死んでいる」とか言われても、多分、実感できないでしょうね。そもそも、私って、人間が死ぬものって事実をたまに忘れてるものはっはっは。
カズヤとミオの恋愛模様は、なんだか浅瀬のプールでうっかり足をヒネってジタバタ溺れているような、端から冷静にみると「こいつらなにやってんだろう?」っていうカンジなんだろうなぁ。実に無様で、実に青い。
お互いに殺したいほど愛しているのなら、心中まがいのことをせんでも、生きて二人で好きなだけにゃんにゃんしてればいいじゃないかと。ヤンデレ彼女と付き合うのもいろいろと面倒臭いですねぇ。
まあそうやって手間と治療費がかかるのがヤンデレの魅力なんですが。
恋人に愛されすぎて殺されかけるってのも、人生に一度はやってみたいよね?
ラストはただのノロケバカップル。結局のところ、たいへんよいヤンデレでございましたとも。