ぱんほー! (HJ文庫 (ゆ01-01-01)) 上田 梯子 ホビージャパン 2008-09-01 by G-Tools |
報道写真家を目指す少年、五色将角が荒廃したドイツで出会ったのは、一見すれば超美少女、しかし実態は傍若無人でかんしゃく持ちのちびっ子戦車長ヒルデガルドだった。特ダネを求めてヒルデの部隊に入る将角だったが・・・。
明日へ向かって、進撃せよ!
第二次大戦の終戦直後の荒廃したドイツを舞台にした、戦場カメラマンの少年と女の子ばかりの戦車隊の戦いを描いたミリタリーアクションです。
金髪碧眼の超美少女ヒルデ、和風美女のアコ、ロリ巨乳なカトリーヌ。たった三人だけの戦車隊。
設定だけだと萌え系そのものですが、この物語内のドイツはナチスの兵隊崩れが武装した盗賊や強盗となって悪行を繰り返す無法地帯となっていて、そんな社会で戦車狩りを仕事にする<狩人>として生きる彼女らも、人を殺すことに躊躇がなかったりと実に殺伐としています。
主人公の五色将角も出会い頭に撃ち殺されそうになったのを有り金を差し出して見逃してもらう始末。
死体から金品を剥ぎ取る行為を非難する将角ですが、そんな綺麗事を言っていては生きていけないという彼女らの主張も仕方がないもので、一概に彼女らが非道であると言い切れないところが難しい。
殺伐としているとはいっても、そこはやはり女の子で、触れた手は柔らかいし、同じ<狩人>の戦車団の男どもとはちがって清潔で、狭い戦車内に充満する甘い香りにクラクラしたりとちゃんとムフフなポイントはもあります。
普段は隊を率いる戦車長として凛々しく振る舞っているヒルデも、甘い物の前では年相応の顔をみせて和ませてくれます。
斡旋所から依頼を受けて偵察行動や戦闘行為をする彼女ら<ケルベロス>戦車隊ですが、彼女らの乗る戦車は、正しくは戦車ではありません。
装甲車に突撃砲をつけた『ヘッツアー』という、砲塔も前方しか向かない"戦車っぽい"機体です。
ティガー戦車やシャーマンと比べれば、装甲も薄く、まともに撃ち合ったら簡単に吹き飛んでしまうような小ささですが、そんなちっこい戦車が自分の倍以上はある重戦車に挑んでいくから燃えるんですよね。
まあ普通なら勝てるはずがない圧倒的な戦力差があっても、なんとかなってしまうのはヒルデ以下メンバーの超人スキルあってのものですが、それを言っちゃあつまらないので思っても気にしてはいけない。
戦闘については素人の将角も完全な足手まといになることもなく、彼女らのために料理の腕を振るったり、やけに詳しい戦車知識を出したり、それなりに活躍もみせて彼女らも見直しましたかね。
この手のミリタリとしてはありがちな、クドクドした解説もざっくり要点をまとめていて読みやすかった。
あとはヒルデたちがどうして戦車狩りなんていう仕事をするようになったのか、その辺の事情がもうちょっと語られるとよかったかなぁ。