![]() | 黄昏色の詠使いVII 新約の扉、汝ミクヴァの洗礼よ (富士見ファンタジア文庫 さ 2-1-7 黄昏色の詠使い 7) 細音 啓 富士見書房 2008-08-20 by G-Tools |
<イ短調>のサリナルヴァからある依頼を受け、凱旋都市エンジュで開かれる新種触媒の披露会に出席することになったネイトたち、しかし、そこでは空白名詠の使い手・シャオが待ちかまえていた・・・。
君を守る盾になりたい
触媒と詩を詠うことにより、望むものを呼び寄せる『名詠式』を学ぶ少年少女の詠う召喚ファンタジー、第二章。
クルーエルは、もうしっかりネイトのことを意識してるよなぁ。
「もしネイトに告白されたらどうする?」とミオにからかわれ、まんざらでもなく嬉しそうに妄想を繰り広げるところなんて。
ネイトの方も、彼女のためにサリナルヴァからの依頼を受ける決意をしたり、お互いに想う心で成長していってるのだなぁと、まだまだ若い二人を見守っていたい気持ちでみていました。
今回、彼らが出向くのは、名詠式を使った決闘試合で有名な都市ということで、トレミア・アカデミー以外のキャラも登場。
名詠式については、学校ごとにいろいろな考えがあるというのが理解できました。トレミアはわりと理想主義ですね。
そこで出会った少年レフィスは、どこかネイトの境遇と重なるものもあって、自分に優しくしてくれた女の子に対して、どう向き合えばいいのか逡巡する様子がよく似ています。
前巻までは、やたらネイトの悩みがぐちゃぐちゃした感じで鬱陶しかったのですが、今回は妙に前向きでしたね。
闘技場の覇者、ネシリスが示した回答も、ひとつの答えとして、検討の材料になったのでしょうか。
わからなければとことんまで体験してみて解き詰めるという姿勢が身についているようなので、ネイトについては、もう悩んだまま立ち止まるというようなことは心配しなくていいかなぁ。
途中までは、少年少女の甘酸っぱい成長ぶりを微笑ましく眺めていましたが、次第に状況が急変していってからはどうも。
相変わらず名詠式は美しいのですが、何でもありになっていきますね。ネイトとエイダの合体技はなんですかあれは・・・。
世界観がおかしくなっていってしまうので、あまりこういう常識外れの決着方法は止めてほしいなと。
最後、アーマからクルーエルの衝撃の事実が明かされ、ついにネイトとシャオが遭遇して思わせぶりな発言を聞かされ、不幸フラグが立ちまくりなんですけど、それでも彼らの道行きが美しいものになると信じてます。