![]() | 森口織人の陰陽道 (電撃文庫 お 7-12) おかゆ まさき アスキー・メディアワークス 2008-08 by G-Tools |
妄想少女は陰陽術で恋をする
山間にある吝華高校へ通うことになった森口織人は、転校初日、校内一と誉れ高き美少女、遥奈原初雪とぶつかった。
その瞬間、何故か彼女の思考が伝わってきて・・・。
被害妄想で誇大妄想癖の美少女陰陽師とごく普通の男子高校生が妖怪退治に奔走する学園ラブコメディです。
これはヒロインの初雪が病気というか、可哀想な娘ですね。
本来は清純派でおとなしい女の子なのに、実は頭の中はえっちな妄想でいっぱいという落差になんだか、そそります。
ほっとくとネガティブな方向にばかり妄想が広がってしまい、
なにかにつけて自分で地雷を埋めて自爆しに行くかのようのようなテンパリっぷりが、はっちゃけてておもしろかった。
普段は特製の手袋で封印しているけれど、主人公の織人だけには、そうした妄想が伝わってしまって、片思いの女の子の妄想にあわわ!と赤面したり、気まずい思いをしたりするのですが、そのことで得をしているのか損をしているのか。
正直、本人にしてみたら微妙な感覚でしょうね。
妄想力が陰陽師としての霊能力に直結しているということで、初雪のピンチになる度に式神のレキにとりつかれて身体を操られるまま、彼女の被害妄想を焚きつけたりするんですが、何故かその状態になると急にセリフや仕草が妙に芝居がかかってキザったらしくなってしまうところには苦笑を禁じえません。
勿論、このお話では万が一、死んでも「ぴぴる蘇生」はありませんので、ごく一般人でしかない彼は妖怪相手には無力。
それでも誰にも言えない彼女の秘密を知ってしまった彼が、妖怪に囚われた彼女を救うために真正面から立ち向っていくんだから、これは文句なしに格好いい。男はハートで勝負だ!
もし『ドクロちゃん』だったらギャグにオチてしまうパターンを、ばっちりキメてくれていたたのが痛快だったなぁ。
適度にエロく、敵度にシリアス、適度にギャグで、適度に友情で、適度にラブ。バランス配分のさじ加減がちょうどいい。
色々やりすぎてカオスになりつつある『ドクロちゃん』のおかゆまさきが、作風は保ちつつ、一旦、リセットされた感じですね。
読者の望みに奇を衒わず素直に応えてくれるという点では『ドクロちゃん』よりも好きかも。続きも楽しみ。
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