ダフロン

2008年08月01日

翡翠の封印/夏目翠

4125010404翡翠の封印 (C・NovelsFantasia な 1-1)
夏目 翠
中央公論新社 2008-07

by G-Tools


その瞳にうつるもの

神殿で巫女姫として一生を終えるはずだった王女セシアラは同盟の証として、新興国ヴェルマに嫁がされた。
麗しき美貌と緑の瞳をもつ少女は、悲壮な決意を秘めて政略結婚に赴くが・・・。人の死期が見える不思議な能力をもった少女と自由奔放な少年王との王室ロマンスです。

文章はともかく、登場人物がいただけないなぁ。
ヒロインのセシアラはまだしも、彼女のお相手である少年王テオの思考レベルがまるでガキんちょなんですよね。
ただの金持ちのボンボンならこのキャラで納得なんだが、一国を背負う者としての重みみたいなものが感じとれない。
若さというか、単に人間としての未熟さ、狭量さが鼻につく。

王族を働かせるのは畏れ多いといいながら、医者の真似事をさせている家来なにこれ? 身分制度が崩壊してるじゃない。
一国の妃とはいえ、女性が外交の場で他国と条約を結んだりできるほど、女性の地位って高いのかなぁとか。
そもそも生まれてこのかた神殿暮らしで、俗世間と離れてた人間がいきなり、政治ができるっていうのも出来すぎでしょう。
肝心のそのシーンはカットされてるしね。

別にリアリティに固執しろというわけじゃないが、"本格"とか、"王道"的なファンタジーに余計な『親しみやすさ』を加えた結果、作品を中途半端なものにさせてしまっている。
なんというか、作者はファンタジー小説を書いているつもりが、実際の中身は少女小説になってしまってるんですよね。

これがコバルト文庫とかだったならまだしも、C☆NOVELS大賞というには、さすがに乙女ちっくすぎる。
対象年齢はせいぜい中学生くらいまでだなぁ。
男が読んでこれに共感するのは難しいでしょう。

ストーリーもやっぱりコバルト文庫によくありそうな流れ。
『燃え』というには、展開も演出も生温くて盛り上がらない。
厳しく言えば、設定に酔っていて、作り込みがいい加減だ。
どこがオリジナルかと考えても、独自性が見つからん・・・。
やっぱり既存のファンタジーを焼き増しして、ただ味付けを甘くしてみたってカンジですね。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | C★NOVELS FANTASIA | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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