ダフロン

2017年05月02日

自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?/三河ごーすと


あらゆる分野のエリートだけを集めた名門校・獅子王学園。だがその実態は、ゲームの結果ですべてが評価される弱肉強食の学園。裏世界のゲームで常勝無敗の伝説を残しながらも、面倒のない普通の人生を歩みたい主人公・砕城紅蓮は、入学試験で手を抜き、目論見通り最低位のFランクに認定されるが……

 この世界はゲームで支配されている

 ゲームの強さですべてが決まる学園で最底ランクの主人公が下剋上を繰り広げていく学園頭脳バトル。

 さすおに。やはり劣等生のお兄様は格が違った。最下位が最強なのは常識じゃないですかやだー。
 裏のゲームで政治も経済も戦争すらも決まる世界で、最強に君臨していた主人公・砕城紅蓮が、エリート校に入学し、上のランクの生徒が下の生徒を虐げる階級社会をぶち壊していくところが痛快です。
 ゲームで人権を切り売りする世界観がとても狂ってて歪んでて背筋がゾクゾクしてきました。

 裏の世界の権力争いから離れたくて高校に編入したものの、そこは生徒同士がゲームでランク競争を繰り広げる特異なエリート校で、平凡を求めてあえて底辺に身をおく紅蓮の徹底ぶりが滑稽でおかしい。
 そんな兄・紅蓮を敬愛し、家でも学校でもダダ甘やかしながらも、兄を活躍させる舞台を整えるべく暗躍するブラコン妹の可憐の毒舌&腹黒さが、まさにこの兄にしてこの妹あり。この妹がヤバい。

 厄介事を避けるためにわざわざ最低のFランクで入学したのに、ゲームで他人を陥れ人としての人権や尊厳をもて弄ぶ生徒たちの所業を見過ごせずに首を突っ込み、鼻っ柱をへし折っていくから面白いんだ。
 ゲームは基本のルールこそあれ、イカサマやペテンは当然のことながら、超能力のような異能でもなんでもありの卑怯上等のダーティーな勝負だから先の展開が読めなくてドキドキハラハラして手に汗握る。

 リアルな若者と比較したら、野心と欲望で目をギラギラさせてるこの学校の生徒達は嫌いじゃないですね。若い力で社会を発展させてくれそう。ただし行き着く先はディストピアかもしれないのがアレだが。
 一応、トップらしく貫禄はある生徒会長だけど盛大にかませっぽいんだよなぁ。次回あたり本気を出した弟にあっさり負けるか、あるいは大穴で妹がラスボスかもしれない予感がビンビンなんだぜ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | MF文庫J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月21日

キラプリおじさんと幼女先輩/岩沢藍


女児向けアイドルアーケードゲーム「キラプリ」に情熱を注ぐ、高校生・黒崎翔吾。親子連れに白い目を向けられながらも、彼が努力の末に勝ち取った地元トップランカーの座は、突如現れた小学生・新島千鶴に奪われてしまう。クリスマス限定アイテムを巡って巻き起こる、俺と幼女先輩の激レアラブコメ!

 俺より可愛い奴に会いに行く

 女児向けアーケードゲームに情熱をかける男子高校生と女子小学生のラブコメディ。

 うわ、幼女先輩つよい。女児向けアーケードゲームは可愛さで相手を殺すゲームだったのか。
 女児向けアーケードゲーム「キラプリ」ガチ勢である主人公・黒崎翔吾と女子小学生の新島千鶴がぶつかり合いながら、ゲームを通じて年齢の差を越えた友情を築いていく姿が微笑ましかったです。
 しかし女児向けゲームにルナティック級の難易度を設定するキラプリ制作スタッフは絶対頭おかしい。

 女児向けゲームをプレイするためにバイトしたり、ファッション誌を読んだり、生活をかけている翔吾の廃人っぷりが可笑しいです。どう見てもアブない奴ですが、ここまでやってるなら逆に尊敬するわ。
 そんな翔吾を小さな女の子がコテンパンに叩きのめすから面白いんだ。格下にプレイする権利はないとばかりに翔吾を鼻であしらうドS幼女な幼女先輩の毒舌の嵐がご褒美すぎます。俺も罵られたい。

 負けず嫌いで意地っ張りで生意気な千鶴ですが、お嬢様らしく変なところで世間知らずだったり、背伸びしていたり、まれに弱みを覗かせたり、年相応の女児っぽいところもあって本当に可愛いんです。
 初めはお互いにいがみ合って敵視していた二人が、己の可愛さを競い合ったり、映画館に行ったりするうちに、対等な相手として認め合い、力を合わせて困難を乗り越える展開に胸が熱くなりました。

 本気の趣味をバカにされ理解されない辛さや孤独は、オタクやゲーマーなら誰でも身に沁みて感じた経験があるんじゃないでしょうか。カラオケやパーティも結局は達成感や充実感を得るために参加するわけで、目的や行動が違うだけでゲームだってアイドルのライブだってみんな同じだと思うんですけどね。
 千鶴の境遇が明かされておらず、まだポテンシャルを隠しているようなので次回に期待です。
posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月05日

建築士・音無薫子の設計ノート あなたの人生、リノベーションします。/逢上央士

4800267382建築士・音無薫子の設計ノート あなたの人生、リノベーションします。 (宝島社文庫)
逢上 央士
宝島社 2017-02-07

by G-Tools

産後クライシス(?)で妻子に出て行かれた男性、サモエドと暮らす老夫婦、自宅カフェ開業を考える二人の主婦……。音無建築事務所には、今日もさまざまなワケありクライアントが訪れる。天才的な観察眼を持つ音無薫子(おとなし・かおるこ)は、彼ら自身も気付いていない真の問題に、建築士として切り込んでいく。

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 あなたの人生の設計プラン教えます

 依頼主の要望を聞くが決して要望通りにしない女性建築士が家に秘められた謎を解き明かす建築ミステリー

 この作品に登場する依頼主に必要なのは建築士じゃなくて心理カウンセラーなんじゃないかなとオモタ。
 建築士である薫子さんと助手の今西くんが、さまざまな理由から家や過去に囚われた人々の心の問題を解き明かし、ユニークなリノベーションによって新しい自宅で新しい人生を歩み出していく光景が感動でした。
 家や部屋はそこに住む人の内面を映し出す鏡であり、人生を積み上げていく土台でもあるんですね。

 研修生だった今西くんが設計を任されるようになり、最初はやる気に満ちていたのに希望が曖昧だったり、意見がコロコロと変わる依頼主に振り回されて青息吐息な姿に社会人ってそんなものよと微笑ましくなった。
 依頼主も問題を問題として認識してないから困っちゃうんですよね。現実で遭遇したら間違いなくこじれる沼案件だ。薫子さんもそんな依頼主のアンタッチャブルな領域に踏み込んでいくから毎回ハラハラさせられる。

 いい意味で空気を読まない、妥協せずに自分が納得いくまで追求する薫子さんの仕事の流儀が潔くて気持ちがスカッとする。こういう上司は部下は大変だろうけど仕事に自信が持てるだろうなと羨ましくなったり。
 依頼主だけでなく、建築士もそれぞれ夢や理想を抱えて設計に携わっている。プロでも悩むこともあって完璧な存在じゃない、でも人間味が感じられてやりがいのある素晴らしい仕事なんだなって改めて思いました。

 マニュアルやラインにそっているいるだけでは作れない、まさに建築は人が住む芸術品ですね。
 今西くんや喜多村さんたち研修生が仕事の成功や失敗を通じて設計とは何かを学んでいく建築士としての成長ぶりが初々しくて、彼らに感化されて若い頃の情熱を蘇らせていく先輩たちの姿にも胸が熱くなる。
 いつだってやりなおせる、人生の設計を学べたような気がします。
posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | このライトノベルがすごい!文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする