2009年07月04日

ルゥとよゐこの悪党稼業/藤谷ある

4894259036ルゥとよゐこの悪党稼業 (HJ文庫)
藤谷ある
ホビージャパン 2009-07-01

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花井良児は頼まれごとは絶対断れないほどのお人好し。そんな良児がある日助けた少女は七大悪魔の一人「傲慢のルゥ」。勢いで下僕にされてしまって、悪事の片棒を担がされることになったけどルゥって、大して悪いことできないんじゃない?そんな不思議なちぐはぐ悪党稼業、ここに開業。

 清い心にゃ、悪行身につかず

 悪いことを強要する悪魔の女の子と契約してしまった善良な少年の物語。

 悪党ぶっているけれど実は小心者な悪魔ルゥとお人好しで善人な良児の掛け合いが楽しかった。
 悪行というのもおこがましい子供のイタズラ程度の悪事しかできないルゥですが、商品のラベルを裏向きにしたり、ゴミ箱を荒したり、やってることが微妙に陰険で実際にやられたら腹が立ちそうだ!
 毎度ルゥの巻き添えあい尻拭いをするハメになる良児のフォローっぷりも見所でしたね。

 いつも何か悪行を企んでいるようなルゥですが、徐々に本音が見えてくるとやるせないんだよなぁ。
 悪魔として産まれたからには、この世を混沌に導くような悪行をしなければならず、しかし、それでも心はそんなに酷いことはできずにジレンマに陥り、ついには暴走を始め天使や神であっても如何ともし難いその状況の中で、良児が己の善なる心に従って人々や世界を救うために命を賭けて立ち向かう姿はとても潔くて堂々としていて印象的だったなぁ。

 天使も悪魔もデジタルな存在とした世界観は、IT脳の私には分かりやすかったかな。
 そこまで純正オカルト萌えではないので、むしろ昨今の時流として現代ファンタジーものはデジタルな要素も加味していた方が読者のウケもいいしね。
 まあデータのくせにやたら人間臭い悪魔のルゥに対し、天使側のカナタは本当に機械っぽくて無表情キャラというにも個性が足りなかったな。
 というか、ルゥを止めるためにきてるのに、結局はいつも余計なことしかしていなかった覚えが・・・・・・。

 それにしてもキャラクターが少なく、辛うじて名前が与えられている脇役も役割はモブ同然なので、メインキャラだけ日常パートで浮き上がっているなぁ。
 地味系の主人公なだけに、単体ではキャラが弱いので脇役も絡ませて欲しかったところ。
 料理に例えると、ソースに旨みが足らず素材の深みが引き出せていないというカンジ。
 これがデビュー作だから仕方がないのかもしれませんが、推敲の余地はまだある。
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2009年07月03日

大正野球娘。3 帝都たこ焼き娘。/神楽坂淳

4198508313帝都たこ焼き娘。―大正野球娘。〈3〉 (トクマ・ノベルズEdge)
神楽坂 淳
徳間書店 2009-06

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巴からランデヴーしないかと誘われた小梅。どきどきしながら歩くその最中、乃枝によく似た女の子と出会う。女の子は乃枝の従姉妹で大阪から屋台対決をしに来たらしい!屋台での東西対決を挑まれ、受けて立つ決意をする桜花会。しかしお嬢様たちには庶民が使う「屋台」がどういうものか分からなくて。

 わたしたち、屋台はじめます

 男尊女卑の世の中で、新しい時代に向けて奮闘する乙女たちの大正浪漫活劇。
 
 今回は野球ではなく料理対決。美味しそうな話ばかりでお腹が空くじゃないかよ!
 屋台対決を申し込んできた大阪チームの「一銭洋食」に桜花会がどう対抗するのかと思っていたら、たこ焼き作っちゃったー! これは酷い歴史改変。明石の人が泣いた。
 まあ前回の野球のときも時代をフライングして金属バットと作っちゃってましたけどね。

 しかし、まあなんでしょうかこの小梅のモテモテっぷりは。晶子さんの本妻っぷりはさて置くとしても、巴にはランデヴーに誘われ、さらに大阪のネコ目娘にも気に入られ、胡蝶も巴お姉様から小梅に鞍替えしとモテ期到来しまくりで、あっちを立てればこちらが立たずといった女の子の友情に振り回される小梅の気苦労も増えているけれど、なんだかんだ小梅を中心に桜花会ガールズが結束し、各々が自分の能力を発揮して連携し合って生み出される展開にはワクワクしてきちゃいますね。

 三郎さんとの仲も良い塩梅に恋模様が進展して、未だに恥ずかしくてお互いに名前で呼び合えないところとか初々しくてツボだわー。こういう奥ゆかしい恋愛観に憧れます。
 言われなくともたこ焼き用プレートを用意しているとか、小梅のことをよく見てるなと感じますね。というか、何気なく取り出したが、たこ焼き用プレートなんかどこで買ってきたのやら。

 ぶっちゃけ、東京人なら「もんじゃ」で勝負すべきだと思うんですが、それだと屋台対決として成り立たないから「たこ焼きに」したのかなぁ。東京の名物で他に張りあえるような食べ物としたらなんだろう。東京ばな奈?
 最後まで料理の話題でしたが、作者はこの作品のタイトルを忘れていなかった。前哨戦では大阪チームに一矢報いた桜花会ですが、本番の試合ではこの健闘がみられるのでしょうか。

 ところで、TVアニメ版の『大正野球娘。』みました。冒頭の謎のミュージカル化に「なにこの練馬大根娘。・・・・・・」と一抹の不安が頭をよぎりましたが、まあキャラデザはいいし、音楽もいいし、声も可愛いし、絵とストーリーは地味ではあるけれど、まあまあ視聴に耐えれそうですね。小梅の頬の赤マルは余計パーツだけれど・・・・・。他の子は普通なのに、小梅だけだと変じゃんよー。
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2009年07月02日

耳刈ネルリと奪われた七人の花婿/石川博品

4757749325耳刈ネルリと奪われた七人の花婿 (ファミ通文庫)
石川博品
エンターブレイン 2009-06-29

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いつものように農芸隊の活動に勤しむレイチとネルリ。そんなある日、彼らは舞姫チェリの華麗な踊りを目の当たりにする。彼女に感心しきりのネルリだったが、なりゆきでチェリと演劇大祭の舞台で勝負すると宣言!問題児たちの舞台は八高に何をもたらすのか!?

 今宵は、一世一代の革命劇

 諸国の王族も通う"八高"で、個性豊かな問題児たちが繰り広げるドタバタ学園コメディ。

 相変わらずどこかヘンテコな歌やら文化やらに吹き出してしまう。なんで古文にウィキがあるねん!
 ネルリの負けず嫌いから始まった十一組の『耳刈ネルリ』のミュージカル化計画ですが、あの個性派揃いのイロモノ集団がここまで本気で演劇に打ち込んで、ちゃんとした舞台になるとは思ってなかった。
 なんともユニークでネルリの勝手なアドリブで右往左往する仲間たちのドタバタっぷりが楽しかったです。

 歌劇で演じる初代ネルリの気持ちに悩むネルリに、男性陣がネルリにハーレムのすばらしさを知ってもらおうと個々にアプローチを仕掛けるところなんて、急にモテモテになったネルリ自身も満更ではなく途中まではいいムードだったのにあっさりバレてお仕置き部屋行きに。コイツら本当に馬鹿だなぁと思うけれども、そんな下らない事で大騒ぎできる彼らの若さがうらやましい。

 それにしても、お調子者レイチの妄想っぷりは際立って変態ですね。欲望に衝動的すぎるだろ。
 自分らしく生きろという二人の兄の教育方針が、なんか別方向に練成されてしまっている気がする。
 でも、とっさのネルリのアドリブにも対応してみせる状況判断はなかなかだし、目立つ人物でもないのに自然と人が集まってくるし、土壇場でこそ胆が据わるあたり、案外、大物なのか?

 舞台で初代ネルリを演じていても、いつものネルリそのままってカンジですね。
 目立ちたがりで融通がきかなくて癇癪持ちで頑固。でも女の子らしさを隠し持っている。暴君だけれど人間臭い。舞台パートを読んでいると、そんな彼女がなんだか可愛らしく思えてきちゃいました。
 しかし、ただの学校の演劇が、ネルリの国で文化革命を起こすまでになるとは、影響力が恐ろしい。

 レイチもネルリもお互いの想いに揺れ始め、また二人の距離感が縮まったことですし、このままなし崩しにイチャラブ化していくのかはわかりませんが、まだまだ二人の生まれや文化や風習の違いなど立ち塞がる壁は多そうなので、それらをどうやってブレイクスルーしていってくれるのかが見物ですね。続きを期待しています。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする